HACCP法制化に伴う施設基準(建築基準)・衛生管理基準の改正
食品衛生法改正が改正されました。HACCPが義務化となり、施設基準(建築基準)と衛生管理基準が改正されました。施設基準には天井・床・内壁・照明、トイレ・更衣室、空調・給排水設備、使用水・廃棄物、ねずみ・昆虫などの様々な項目があります。
HACCP法制化に伴う施設基準(建築基準・設備基準)の改正
保健所の指導を受けられ、なぜ指導を受けたのか、今までは良かったのに・・・など、不思議に思う事はありませんか?
そうなんです、今までは良かったことが駄目になったことがあるんです。
HACCPでは、食品を取り扱う工場がどんな環境でも管理でも良いという訳ではない、HACCPの前に整えて置かなければいけない、 前提条件プログラム(PRP:Prerequisite Program)があることを説明を致しました。
前提条件プログラムはこちらの記事で解説しています!
今回の食品衛生法改正で、HACCPが義務化され、衛生管理が高度になると行わなければいけない一般衛生管理(衛生管理基準)が増えます。そうなると作業者の負担も増えるし、作業面よりも施設側の建築・設備で補う方が効果的な事もありますので、高度な衛生管理に合わせて施設に対する建設・設備側の基準も増えたということです。
これから工場を新設される、又は改装される工場では、最初から施設基準(建築基準・設備基準)と合わせて検討した方が良いものが沢山あります。
HACCP(ハサップ)法制化に伴う施設基準の要求項目
施設基準(食品衛生法)を箇条書きにしました。
・屋外のホコリ、廃水、廃棄物、排気ガスなどの汚染を防止、及びねずみや昆虫の侵入を防止出来る構造や設備があること。
・衛生的な作業を継続する為に必要な設備、機器や器具を配置し、取り扱う量に応じた十分な広さがあること。
・作業区分に応じて間仕切り等により必要な区画がされ、工程に沿って機器が適切に配置され、空気の流れが管理出来る設備があること。但し、他の方法で必要な衛生管理措置が取られ交差汚染や二次汚染が防止できれば良い。
・住居と食品を取り扱う区域は区画されていること。
・食品を取り扱う場所の天井は結露しにくく、カビの発生を防止し、結露による水滴で食品等が汚染されないような構造、又は設備があること。
・床・内壁・天井は洗浄・消毒が出来る材質で作られ、洗浄が容易に行える構造であること。
・床・内壁を水を使って洗浄する場合、内壁の容易に汚染される高さまでと、床面は不浸透性の材質で排水が良好であること。
・照明設備は検査・作業、及び清掃等が十分に出来るように必要な照度を確保できる機能を備えること。
・水道水を使用する場合は必要な場所に必要な温度で十分な量を供給できる給水設備があること。貯水槽を使用する場合は食品衛生上支障のない構造であること。水道水以外を使用する場合は、必要に応じ消毒装置及び洗浄装置を備え、外部から汚染されない構造であること。
・手指洗浄する装置は、水栓が洗浄後の再汚染を防止できる構造の流水式手洗い設備を必要な数、設置し、洗浄消毒する装置を備えること。
・水で洗浄する区画や液体の廃棄物が流れる区画の床面には排水溝や桝があること。また、汚水が逆流しないように配管され、施設外に排出されること。
・取扱う原材料の種類や特性に応じ、必要な機能をもつ冷蔵・冷凍設備を必要な量に応じて設置すること
また、汚染の防止可能な状態で原材料を保管することが出来る設備があること。
・トイレには専用の流水式手洗い設備を設置し、作業場に汚染の影響を及ぼさない構造でること。
・廃棄物をいれる容器は洗浄がしやすく、汚液や汚臭がもれないものを使用すること。
・製品を包装する場合は衛生的に包装できる場所があること。
・更衣室は従業員数に応じ、十分な広さがあり、出入りが容易な所にあること。
・食品等をする場合、必要に応して熱湯や蒸気等を供給でき、目的や規模に応じた大きさや数の洗浄設備を設置すること。
・作業に応じた機器・器具・容器を備え、適切に洗浄、保管、保守及び点検を行うことのできる構造であること。また、食品に直接触れる機会・器具は洗浄が出来、熱湯・蒸気や殺菌剤で消毒がかのうであること。
・移動できない機器は洗浄・清掃がし易い場所に設置し、組立式の機器は必要に応じ、分解・洗浄及び消毒が可能な構造であること。
・冷凍・冷蔵・殺菌・加熱等の設備は、温度計や圧力計、流量計などの必要に応じた計量器をそなえること。
・掃除道具を必要数そろえ、保管場所や使用方法・清掃方法を作業者が理解できるようにすること。
沢山ありますね。改正前の3倍の文字数に増えたそうです。
HACCP(ハサップ)法制化に伴う衛生管理基準の要求項目
施設設備が整っていれば良いというわけではありません。清掃が容易な構造であっても、清掃しなければ意味がありません。施設基準は衛生管理基準とセット、運営管理が重要です。
逆を言えば、施設基準が整っていないからと言って、衛生管理が十分では無いという事ではありません。
衛生管理基準を見ると、施設基準に合わせた運営側での対応方法が書かれています。
もちろん、それ以上に交差汚染や二次汚染の防止や、清掃、個人衛生、温度管理など施設設備には関係のない、項目もありますよ。
HACCPはハードでは無くソフトと良く聞きますが、今ある施設・設備でどうしたら衛生的な管理が出来るかを考えて運用していくことです。
まとめ
新築であれば最初から施設基準を満たすように設計されると、後々の管理運営が楽になります。だからと言って、あれもこれもと相手の提案に乗ってしまうと過剰になってしまい、大変な金額になりビックリされるのでは。
実は、全扉を二次汚染防止の為に自動ドアにした工場がありました。予算を自動ドアに使い過ぎて、肝心の手洗い設備や、空調設備が施設規模に合わず、温湿度管理が出来ないと嘆いておられます。
自動ドアにしなくても、従業員にしっかりと衛生教育が出来ていれば大丈夫、ゾーニングも扉が無い方が汚染リスクが少なくて良い場合もあります。
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長年、食品製造施設で培ったノウハウをもとにHACCPハードプランのコンサルティング・レイアウト設計・施工業務は看板業務として、民間認証取得サポートなどのソフト面のサポートも積極的に行っています。大型食品加工事業者にお勧めです。