【HACCP(ハサップ)とは?徹底解説】簡単に分かりやすく説明します

【HACCP(ハサップ)とは?】簡単に分かりやすく説明します

HACCP(ハサップ)って、とても難しい事の様に聞こえますが、実は、あなたが既に食品製造でやっている事なんですよ。実はHACCPとPRP(前提条件プログラム)はセットで考えないから分かり易いんです。HACCPとは?PRPとは?を簡単解説致します。

HACCP(ハサップ)とは

HACCPはアメリカ生まれの海外育ちの食品衛生管理の手法です。
アメリカのNASAが宇宙で食中毒を起こしたら大変!ということで、安全な食事を作る為に考えた管理方法です。そして、世界各国で何度も何度も改訂され、食品の衛生管理で最も優れた手法となりました。
コーデックス(食品の国際規格を定める国際的な政府間組織)が食品衛生の国際規格のガイドラインで『HACCP7原則12手順』を示したことで、世界各国の規制や法律、民間認証における食品衛生管理の基本として導入されています。
日本でも、とうとうHACCPが法制化されましたね。

制度化のスケジュールはこちら

なぜ、HACCP(ハサップ)の義務化が必要になった要因のひとつにオリンピック・パラリンピックの東京開催が挙げられます。
世界中からたくさんの選手、たくさんの偉い人が集まってきます。もし、オリンピック開催中に選手村で食中毒事故が起こったら、宿泊しているホテルや会食会場で食中毒事故が起こったら、それは大事です。そこでHACCPです。

まず、第一に、先進国では随分前から国際的な食品衛生管理手法として推奨されているHACCPが義務化されています。HACCPは食品安全に基本なのに日本ではHACCPが義務化されていない?それが原因で食中毒事故を起こしたという事になります。

次に、HACCPでは、どの様に衛生管理が行われているか、間違いやミスが無かったかが明確になり、何が原因なのかが分かります。あなたの無実を証明する証拠となります。

もうひとつは、食中毒事故が減らないという事です。
条例で決められた衛生管理通りに全ての事業者が出来るか?
人手が無い、工場が狭い、設備が無い、お金が無いなど、様々な理由で指導され分かっていても出来ない事がひとつくらい、あるのでは?
今までは『出来る』・『出来ない』の100か0でした。
HACCPはあなたが出来る方法を考えて実施する、80でも50でも良いんです。0で無い事が大切。
あなたの工場での問題点に対して、あなたが出来る方法を考える事がHACCPの一番重要なところです。

前提条件プログラム(PRP)が土台

HACCPの前に、そもそも食品を取り扱う工場がどんな環境でも、どんな製造方法でも良いという訳にはいかないですよね。食品は人間に危害を与える危険な物にいつでも変身出来るのですから、衛生的な環境でなければいけませんし、手洗いや使用する器具の殺菌、温度管理をしっかりするなど、食品が汚染されたり菌が増えたりしない様に最低限度、整えなければいけない製造環境と、行わなければいけない衛生管理があります。これは前提条件プログラム(PRP:Prerequisite Program)といわれ、一般衛生管理とも言われます。

例えば、小学校を設立する時
まず、どこに建設するのが良いか、交通量の多い道路は避けるとか、危険な場所が近くに無いとか、周りの環境なども考慮して場所を選びますよね。
それから、校舎は教室の数やトイレ、家庭科実習室や音楽室、運動場にプールと必要な大きさ・設備を整えますよね。
次に黒板や机、掃除道具などを揃え、勉強出来る環境を作り、制服や体操服を決めます。
次は担任の先生を決めて、時間割を決め、時間割通りに授業を進めます。
更に教室毎に、細かく授業始まりや終わりの挨拶の仕方や掃除の仕方、給食当番なども決めて、生徒に教えます。
これが、生徒に勉強を教える為の前提条件プログラムです。そして実際に行われる授業がHACCPのようなもの、そこから得られた学力・知識のようなものが食品(製品)です。

前提条件プログラム(PRP)の要求項目

コーデックス食品衛生規範では下記8項目

1.一次生産
2.施設設計(デザイン)および設備
3.ペレーション・コントロール
4.メンテナンスおよびサニテーション
5.個人(従業者)衛生
6.輸送
7.製品情報および消費者意識
8.トレーニング(訓練)

それぞれに細かい要求事項がありますが、コーデックスをベースに民間認証機関により要求事項が異なりますし、各国の規制や法律もそれそれの環境に合わせて少しずつ異なっています。
という事で、色々とあるので、日本の厚生労働省が法制化で求めている前提条件プログラム(一般衛生管理)は下記項目となっていますよ。

1.食品衛生責任者等の選任
食品衛生責任者の指定、食品衛生責任者の責務等に関すること

2.施設の衛生管理
施設の清掃、消毒、清掃保持等に関すること

3.設備等の衛生管理
機械器具の洗浄・消毒・整備・清潔保持等に関すること

4.使用水等の管理
水道水又は飲用に適する水の使用、飲用に適する水を使用する場合の年1回以上の水質検査、貯水槽の清掃、殺菌装置・浄水装置の整備等に関すること

5.ねずみ及び昆虫対策
年2回以上のねずみ・昆虫の駆除作業、又は、定期的な生息調査等に基づく防除装置に関すること

6.廃棄物及び排水の取扱い
廃棄物の保管・廃棄、廃棄物・排水処理等に関すること

7.食品又は添加物を取り扱う者の衛生管理
従事者の健康状態の把握、従事者が下痢・腹痛等の症状を示した場合の判断(病院の受診、食品を取り扱う作業の中止)、従事者の服装・手洗い等に関すること

8.検食の実施
弁当、仕出し屋等の大量調理施設における検食の実施に関すること

9.情報の提供
製品に関する消費者への情報提供、健康被害又は健康被害につながる恐れが否定できない情報の保健所等への情報等に関すること

10.回収・破棄
製品回収の必要が生じた際の責任体制、消費者への注意喚起、回収の実施方法、保健所等への報告、回収製品の取扱い等に関すること

11.運搬
車両・コンテナ等の清掃・消毒、運搬中の温度・湿度・時間の管理等に関すること

12.販売
適切な仕入れ屋、販売中の製品の温度管理に関すること

13.教育訓練
従事者の教育訓練、教育訓練の効果の検証等に関すること

14.その他
仕入元・販売先等の記録の作成・保存、製品の自主検査の記録の保存に関すること

しっかりとした土台の上にHACCP(ハサップ)

前提条件プログラムであなたの工場の環境や建物の構造に合わせた管理方法、ゾーニングやレイアウトに合わせた作業動線、使用する機器やメンテナンス・サニテーション方法が明確になり、受入から出荷までの作業工程も確定しましたね。

そうなんです。前提条件は100の工場があれば100パターンの条件があります。だから、その条件に合わせたHACCP計画が必要になります。
例えば、食材の受入れでは何を仕入れるのか?検品では何をチェックしないといけないのか?が違います。
保管では冷蔵庫が必要なのか?冷蔵庫は充分な容量があるのか?保管が出来なければ危害を及ぼす危険な物になる可能性があるのか?などを考えて、どうすれば安全な状態で保管が出来るのかを考えます。
下処理では、どうでしょう?野菜と肉は別のテーブルで処理できますか?出来なければどうしますか?
野菜から下処理をして、魚、肉の順番に危険な微生物を生で食べる物から順番に危険な菌を持っている可能性が低い物から順番に処理をする、それとも食材毎にしっかりと洗浄殺菌するなど、色々な方法がありますよね。
加熱はどうでしょう?加熱は何の為に行うのでしょう?美味しい食品を作る為?元々は生で食べるとお腹が痛くなるので、火を通して食べたんですよね。それが調理になり美味しい食事になったのですが、本来は食材が持っている危険な微生物を殺す為の大切な工程ですよね。ここでしっかり加熱しないと、菌が死に損ねちゃいます。しっかりと加熱します。

その後の包装、ここで危険な病原微生物を付けてしまったら、危険な物質が混入してしまったら大変です。
そんな風に食材の入口から出口までの工程を1つ1つ、どうなったら危険でどうしなければいけないのかを考えます。

そうする事で、環境や人、食材同士の汚染を防ぎ、微生物の増殖や異物の混入を防止出来ます。
この工程がHA(ハザード分析)です。
そして、最後は食材が元々持っている病原微生物を殺す(例でいう加熱)、又は工程で混入してしまう可能性のある危険な物質を除去し(例でいう包装)安全な食品にします。
この工程がCCP(必須管理点)です。

HACCP(ハサップ)義務化の対象事業者

対象事業者は食品等取扱事業者全てです。
取扱事業者という事は製造や調理は勿論ですが、製造や調理をしていなくても扱っていれば対象となります。

HACCP義務化の対象事業者について詳しくはこちら

制度化のスケジュールはこちら

2021年6月1日より法律でHACCPが完全義務化されます。
今までも、保健所職員さんが指導に来たけど、無視してても罰則無かったし、やってなくてもバレないのかもなんて思っていませんか?
いえいえ法律です。法律を守らなければ罰則があります。

HACCP義務化の罰則はこちら

HACCP(ハサップ)導入のメリット・デメリットはこちら

HACCP(ハサップ)7原則12手順

HACCP(ハサップ)7原則とは、12手順の後半、手順6から手順12になります。前半の5手順は後手順を進める為、あなたの工場がどんな物を、どの様な原材料を使って、どの様に製造して、どの様に運搬され、何処で誰に販売されるのかななど、あなたの工場、製品についての情報収集や情報の整理をする大切な手順です。

HACCP7原則12手順について詳しくはこちら

まとめ

あなたの工場の現状を先ずは見直しましょう。
食品を取り扱う最低限度の設備は整っていますか?
食材が放置されていたり汚染される危険な場所や工程はありませんか?
しっかりと5Sを実施していますか?
これは、食品を取り扱うのであれば、必要な事ですよね。
そして、食材を安全に食べられる物にする為に食材の持っている危害を無くす(殺菌・低減・除去する)。
無くなって安全である事を確認する。
あとは従業員教育、しっかりと決めた事を守る事が一番重要です。

ハサップ導入はお済みですか?このサイトでは、ハサップに関する重要知識を徹底解説します。ハサップの疑問を解決し早めに導入しましょう!

運営者情報

  • HACCP Q&A よくあるご質問集
  • HACCP先生に質問する
  • 教えて! HACCP 先生 トップページに戻る
  • 徹底 解説 HACCP ハサップとは?
  • HACCP先生に 無料相談

HACCP導入のトータルサポートが
できるおすすめ業者

小規模事業者におすすめ!

アース環境サービス株式会社

引用: アース環境サービス株式会社

アース環境サービス株式会社

害虫駆除や清掃など環境衛生を専門とする企業。「総合環境衛生管理」を理念とし、食品工場から一般家庭まで幅広くサポート。衛生環境の診断から総合的な支援の仕組みを構築しており、特に環境衛生が重要な小規模事業者にお勧めです。

公式サイトを見る

小〜中規模事業者におすすめ!

東邦電気工事株式会社

引用: 東邦電気工事株式会社

東邦電気工事株式会社

空調設備が得意な設備施工会社。食品工場の様々なご相談を頂くなかで、ハード面だけでは無くソフト面のサポートも必要と、自社にHACCPの専門部門を設置しハード面・ソフト面をバランス良くサポート。中規模の食品加工事業者様にお勧めです。

公式サイトを見る

大規模事業者におすすめ!

アース環境サービス株式会社

引用: 創実ファシリティーズ

創実ファシリティーズ

長年、食品製造施設で培ったノウハウをもとにHACCPハードプランのコンサルティング・レイアウト設計・施工業務は看板業務として、民間認証取得サポートなどのソフト面のサポートも積極的に行っています。大型食品加工事業者にお勧めです。

公式サイトを見る