金属探知機を重要管理点CCPとした場合の管理基準・HACCP計画ついて解説

教えて!haccp先生

HACCPで取扱う危害要因に物理的危害要因があり、その管理方法に金属探知機が使用され、CCPが金属探知の工程になる事は良くあります。
その場合の管理基準・モニタリング方法・検証などHACCP計画について解説致します。

金属探知機って必要?

人に危害を与える要因、危害要因は生物的・化学的・物理的の3つの要因に分類されます。

その中で、物理的な要因、物理的ハザードは字の通りで、物・物体で口に入れる事で口腔内を傷つけたりする、貝殻・ナッツの殻、骨などの食品由来の物と、製造工程の中で混入してしまう可能性のある、機械ネジや刃欠けなどの金属片、プラスチック片や木片などがあります。
それらを一般的な衛生管理で管理する事も出来ます。例えば、作業終了後に機器や器具の点検作業を行い、刃欠けや機器のネジなどを確認する、器具洗浄機に破損を確認するといった方法です。
この場合、作業終了後に刃欠けが発見された場合、一日に生産した製品のどれに破片が混入しているか分からない為、全ての製品に混入が無いかを確認しなければ出荷出来ないという大変な事態になってしまいます。

そこで、多くの食品工場では金属探知機を使って製品毎に異物を確認する方法を取られています。

金属探知機の工程をCCPにした場合の管理基準(許容限界)の決め方は?

金属探知機の工程をCCPにした場合の管理基準(許容限界)は、ズバリ、製品に硬質異物の混入が無い事!ですよね。
となると、モニタリング方法の『何を・どのように・どの頻度で・誰が』は、『製品が・金属検知器を通過させて反応しない事を・全製品・担当者が』となりますよね。

しかし、多くのHACCP計画では管理基準(許容限界)を、『金属探知機がテストピースに正しく反応する事』として、
モニタリング方法を『金属探知機を・テストピースに正確に反応するかを・2時間毎・担当者が』と言う感じになっています。実は、これって検証作業ですよね。

モニタリングに使用している計測機器が正しく反応しているかを確認する作業は検証作業です。

ならば、なぜ???

モニタリングには記録が伴います。
頻度を『全製品』としてしまうと、全製品に対して許容限界を逸脱していない記録を残さないといけなくなってしまいます。
すごく大変で作業になりません。
そこで、モニタリングは金属探知機が正しくテストピースに反応する事として、テストピースに反応した記録を残す事で安全性を証明しています。

でも、管理基準(許容限界)を『金属探知機がテストピースに正しく反応する事』として、モニタリング方法を『金属探知機を・テストピースに正確に反応するかを・2時間毎・担当者が』として本当に大丈夫???

でも、そこには重大な落とし穴

管理基準(許容限界)を『金属探知機がテストピースに正しく反応する事』として、モニタリング方法を『金属探知機を・テストピースに正確に反応するかを・2時間毎・担当者が』としてしまうと、その後の是正措置(修正措置)はどうなるでしょう。
この場合の逸脱は、テストピースに金属探知機が反応しなかった事になりますので、

・前回のモニタリング(正しく反応していた時)までさかのぼって、製品を正しく反応する金属探知機で再検査する
・金属探知機の修理をする。

くらいでしょうか?

あれ?硬質異物の混入があった製品はどうなるのでしょう?全く触れられていません。

そもそも、是正措置って、安全でない製品(許容限界に達していない=安全が保障されない)製品が間違って出荷されない様にする修正措置も含まれます。
金属探知の工程がCCPとなっているのは、製品に硬質異物が混入していない事を確認し、無い事が確認できたものは出荷、金属探知機が反応した物は除去されないといけません。
そして除去した物が間違って出荷されない様な措置を取る必要があります。

そうなんです、金属探知機の工程でのCCPは製品とテストピースの両方の管理基準(許容限界)が必要です。

金属探知機の工程をCCPにした場合のHACCP計画の例

HACCP計画は一通りではありませんので、一例としてご参考にして下さい。

金属探知機がCCPの場合の管理基準(許容限界)を 『適正な感度で、正常に機能する金属探知機を製品が通過すること』とします。

モニタリング方法は製品と金属探知機の両方を行います。加熱工程がCCPの場合に温度と時間の両方をモニタリングするのと同じです。

『何を・どのように・どの頻度で・だれが』を、

1.『製品を・金属検知器を通過させて反応しない事を・全製品・担当者が』
2.『金属探知機が正常に機能している事を・テストピースに正確に反応するかを・2時間毎・担当者が』

とします。
そうすると、是正措置は

1.金属探知機が反応した製品を2回通して1回でも反応したら赤箱に入れる
赤箱から製品を取だし異物を探す

2.前回のモニタリング(正しく反応していた時)までさかのぼって、製品を正しく反応する金属探知機で再検査する
金属探知機の修理をする。

となります。

そして、記録は金属探知機がテストピースに正常に反応した事をモニタリング記録として、その間、製品が金属探知機を逸脱無しで通過した事を含んでいるとします。
是正措置記録は1の製品に硬質異物が混入していた場合と、2の金属探知機がテストピースに反応しない、正しく機能していない場合の両方が必要です。

まとめ

金属探知機の工程をCCPとした場合のHACCP計画は難しいですが、管理基準・モニタリング・是正措置はどんな製品でも全て同じ計画になると思います。

でも、テストピースの大きさはどうでしょう。あなたが取り扱っている食材にどんな物理的危害が混入している可能性があるのか、工程の中で機械や器具、環境からどんな物理的危害が混入する可能性があるかを考えてテストピースの大きさや材質を決めなければなりません。

FDAでは7㎜以下は危害にならない可能性が高いとし、7㎜以上の硬質異物を危害としていますので、7㎜以下のテストピース、更に刃欠けなどは小さくても大怪我をする可能性が高いと考えると、もっと小さくなりますね。

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