スーパーマーケットや小売、卸売業はHACCP義務化の対象?倉庫や物流は?

教えて!haccp先生

今回の食品衛生法改正でHACCPが義務化となったのは、どこまでの業種なのでしょう。実際に食品製造に係わっていないし、触れる事もなし。ただ保管して運搬する物流や食品卸業者、店頭で売るだけの小売業者の対象になるのでしょうか?

もちろん、スーパーマーケット・小売業や卸売業、物流・運搬や倉庫業も対象です。

HACCP(ハサップ)は「from farm to table フロム ファーム トゥ テーブル」、つまり、食材の生産者(農場)から消費者(食卓)まで一貫した安全管理をするという事が最も重要です。

「food chai フードチェーン」という言葉を聞いた事があるのではないかと思いますが、食品やその材料の生産・加工・流通・保管・販売まで途切れる事なく安全につないでいかなければなりません。つなぐ役割は倉庫保管・物流、そしてスーパーマーケットや卸売業者、小売業者、そこが仲間外れでは安全も途切れてしまいます。
そのため、もちろん小売業、卸売業、倉庫や物流もHACCP(ハサップ)の対象です。

ただ、直性、食品製造に係わっている訳ではありませんし、直接触れる事もありませんから、要求項目も少ないですし、必須管理点もありませんので、一般衛生管理のみで管理することになります。
※一般的な衛生管理については後述します。

「仕入して販売」、「保管して配送」のみの事業者は『HACCPに沿った衛生管理』は不必要の場合が多い

HACCP(ハサップ)とは

HACCP(ハサップ)とは、「Hazard Analysis and Critical Control Point (ハザード・アナリシス・クリティカル・コントロール・ポイント)」

そのまま訳すと「危害要因 分析 そして 必須 管理 点」となります。

食品が人に危害を与えてしまう要因を分析し、食品が安全なものになる為にコントロールが必要な工程を決め、確実にコントロールするという意味になります。

コントロールとは除去・低減させる事。
例えば、食材が本来持っている病原微生物を殺したり、工程で混入してしまう金属異物を除去して、食べても安全な食品にする為に積極的に働きかける事です。

食品を保管・流通する倉庫保管・物流・運送や、包装済の食品を陳列して販売を行うスーパーマーケットや食品卸業や小売業業務では、危害となる要因をコントロール(除去・低減させる)する事はできません。
その為、コントロールする必須管理点、コントロールポイントが無いのです。
コントロールポイントがないのですからHACCPが必要ないという事になります。

物流や小売りで重要なのは「一般的な衛生管理」

逆に重要なのが一般的な衛生管理です。

食品衛生において重要なのが『つけない・増やさない・やっつける』ですよね。
『やっつける』がHACCP、
『つけない』『増やさない』が一般的な衛生管理です。

保管・物流・運搬、食品卸業などは、 受入時に「製品・食品は製品規格書や仕様書を確認し、要求基準を満たしているのか?」、「保管温度や条件が守られた状態で運搬され納品されたのか?」を確認する必要があります。
そして、受入から保管、保管中、仕分け(ピッキング)、積み込み、運搬、納品まで全ての工程で保管温度が守られなければいけません。

よく、冷蔵食品を常温の仕分け室で仕分・梱包し、出荷まで放置されているケースがありますが、これはNGです。
要冷蔵・要冷凍は無菌ではなりません。
無菌ではないという事は仕様書にある温度以上で放置されれば、病原微生物が増殖し、消費期限内でも食中毒事故を起こしてしまうという事になります。製品規格書や仕様書の取り扱いを守っての賞味期限・消費期限です。

と、ここまでは当たり前の様に今まででも徹底されていましたね。
では、今までと何が変わった?対応しなければならない項目は大きく5つ。

1.包装の汚れや破れなどが無いように取扱い、管理しなければいけません。
ある工場の原材料庫を見ると、段ボールに足跡が付いていた事がありました。食品として取り扱われていない事にビックリしました。

2.取扱う食品に応じ必要であれば、ねずみや有害昆虫の汚染対策を行わなければいけません。
段ボールなどの包材に有害昆虫が卵を生んだり、ねずみが糞をしたりします。食品と一緒にねずみや有害昆虫を運んでしまいます。

3.従業員の健康管理・体調管理を行わなければいけません。
従業員がノロウィスルに感染し食品を運ぶ事でノロウィルスも運んでしまいます。体調が悪い従業員は食品に触れてはいけません。

4.トイレや更衣室は常に清潔に保てるように清掃・管理しなければいけません。
トイレは便と一緒に沢山の病原微生物やウィルスが排出され、感染を広げる最も不潔な場所です。

5.運搬車輌の清掃、温度管理をしなければいけません。
温度管理が必要な食品を運搬する際は、運搬中も保存温度を維持しなければなりません。

では、スーパーマーケットや小売業、食品卸業などは如何でしょう?
スーパーマーケット、小売店でも受入・保管・陳列の温度管理の重要性は上記を同じですよね。
ただ、あなたのスーパーマーケットや小売業で、生鮮食品をカットしたり、リパックをされているとしたら、交差汚染や二次汚染の防止や作業中の温度管理も必要になります。

スーパーマーケットや小売業更で更に対応しなければならない項目は大きく4つ。

1.カットやリパックは、危害となる病原微生物の少ない、フルーツや野菜から始め、魚、肉の順番で行いましょう。

2.食品が変わる毎に、包丁やまな板を洗浄しましょう。

3.手で食材を触れる時にはしっかりと手を洗いましょう。

4.賞味期限・消費期限の記入は間違いが無いか確認しましょう。

当たり前の事ですが、あなたのスーパーマーケットでは実際に出来ているのか、改めて確認してみて下さい。

もちろん、スーパーマーケット・小売業や卸売業、物流・運搬や倉庫業の手引書もあります。

食品衛生法が改正され、一般的な衛生管理とHACCPに沿った衛生管理が義務化されましたが、どの様に、何をすれば良いのか?と、もしかしたら、あなたはHACCPの本を買われたり、講習へ行かれたしたかもしれません。一般的な話を聞いても実際にあなたのお店では如何すれば良いのか、やっぱり分からなかったかもしれません。

厚生労働省は、各業界団体に手引書を作成させ、あなたが手引書に沿って衛生管理計画書を作成し、添付されている記録用紙に記録をすれば、良いようにしています。

スーパーマーケット・小売業や卸売業、物流・運搬や倉庫業を対象にした手引書は下記4冊。
最初に、その手引書に当てはまる事業者は・・・が書かれています。あなたのお店に合った手引書を見つけて下さい。

>【スーパーマーケットにおけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書】

>【冷凍・冷蔵商品販売事業者(加工食品卸業)に向けた温度管理を必要とする加工食品の販売に関するHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引書】

>【多店舗展開を図る食品小売事業者におけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理手引書】

>【食品衛生法改正に伴う衛生管理計画書作成の手引き-冷蔵倉庫業版—】

まとめ

今までは、食品を取り扱うと言っても運搬するだけ、並べるだけで、加工や調理をするわけではないし、食品に直接触れるわけでもないし、食品衛生は関係ないと思っていませんでしたか?

特に、倉庫や物流や小売りでは食品という感覚よりも、温度帯が重要であり、常温なのか、冷蔵なのか、冷凍なのかで取扱や管理方法を変える、温度帯に合わせた管理をしていたかもしれませんね。

でも、それだけでは不十分。人間は沢山の病原微生物やウィルスを持っています。食品に付着すれば、食品の栄養を餌に増えて行ってしまいます。あなたは食品を受け取ったその瞬間から、病原微生物を付けない!増やさない責任があります。あなたは生産者から消費者へ安全をつなぐ大切な役割をしています。

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