【HACCPに基づく衛生管理(旧基準A)】とは?
食品衛生法が改正されHACCPに基づいた衛生管理が義務化されましたが、『HACCPに基づく衛生管理(旧基準A)』と『HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(旧基準B)』とは?
この記事では、『HACCPに基づく衛生管理(旧基準A)』について詳しく分かり易く解説致します。
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(旧基準B)はこちら
あなたの工場の衛生管理方法、食品の安全性を『見える化』
『コーデックスのHACCP7原則に基づき、食品等事業者自らが使用する原材料や製造方法等に応じ、計画を作成し管理を行う。』
引用: 厚生労働省ホームページ
そもそも「コーデックスのHACCP」とは
そもそも「コーデックスのHACCP7原則に基き」ってなに?
今までと何が変わって、何をしたら良いか、具体的な内容は誰に聞けば良いのか・・・分からない事だらけです。
HACCPとはあなたの工場の衛生管理方法、食品の安全性を『見える化』する事です。コーデックスとは、国際連合食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)により設置された食品の国際規格を定める国際的な政府間組織で、日本は勿論、世界186ヵ国+EUが参加し います。
コーデックスが食品衛生の国際規格のガイドライン『HACCP7原則12手順』を示してから 20年以上が経過し、先進国を中心に義務化が進められ、HACCPによる衛生管理は、各国の食品衛生の関する法律や規制、ISOやFSSCなどの食品衛生規格のベースとなっています。
でも、何故わざわざ『コーデックスの』と言っているのでしょうか?
今まででも日本でHACCPは其々の自治体で条例の中で食品衛生の管理手順としてHACCPが取入れ、自治体で認証を行っていたり、業界団体が業界内での衛生管理の向上の為に認証を行っていましたので、あなたもHACCPは知っている、聞いた事があるのでは?
ただ、残念な事に、それはHACCPの考え方と取り入れて日本人向けにアレンジされてしまっている『和製HACCP』なのです。本場のカレーを日本人向けに香辛料を少なくし出汁をきかせて食べやすくしてしまい、本来の味を無くしてしまったようなものです。
そこで、厚生労働省は世界規格そのまま「コーデックスの」とわざわざ付けました。
と、なると今までの自治体認証や業界団体の認証を受けていても、保健所監査OKとはならないという事です。
衛生管理計画書作成
あなたの工場が安全な食品を製造する為に、建物の条件、使用している食材、使っている機械、作業工程、従業員のレベル、作っている商品などの様々な条件や状況に合わせ、食材を受け入れてから出荷されるまでの自社オリジナルの衛生管理計画書を作成し、実施し、実施した証拠に記録を残さなければなりません。
衛生管理計画書とは、『一般的な衛生管理』と『HACCPに沿った衛生管理』の2つを言います。
では、具体的にどの様に作っていくか順に解説します。
一般的な衛生管理とは
一般衛生管理とは、今までの当たり前に行っていた衛生管理の方法です。
施設や設備の衛生管理、使用する水の管理、廃棄物の処理、そ族や昆虫の駆除、従業員の健康管理やユニホームなどの衛生管理、交差汚染の防止、そして最も大変なのが従業員教育ですね。
一般衛生管理とは、食品を取り扱う為に整えなければならない基礎で、あなたの工場でも既に実施されていると思います。
でも、HACCPは『見える化』です。
今回の法制化の『一般的な衛生管理に関する基準』で要求されている項目について、実際に行っている管理方法や手順、担当者や清掃などのスケジュールなどを、具体的に誰が、何を、いつ、どうして、どうなる、だから衛生!を明確にし文書化します。
言い方を変えると、今まであなたが行ってきた衛生管理方法が正しい方法であり、衛生管理がしっかりと出来ている、安全な商品を製造しているという事を具体的に示す事となります。
HACCPに沿った衛生管理とは
『一般的な衛生管理』は食品製造の基本です。基本が整っていなけれなHACCPは意味をなしません。『一般的な衛生管理』が整ったら、次はHACCPです。
コーデックスHACCP7原則12手順に沿って、『HACCPに沿った衛生管理』計画書を作成しましょう。
HACCP7原則12手順について詳しくはこちら
『一般的な衛生管理』で、あなたの工場の条件、状況、工程が明確になり、そこでの管理方法や手順が決まりました。
先ずは食材の受入れから出荷までの作業工程図(フローダイアグラム)を作成します。ここは漏れが無いようにしっかりと現場を確認しながら作成します。ここで工程が漏れてしまったら、その工程は管理されていない工程となってしまいます。
次に危害要因分析です。
・生物的なもの(食中毒の原因になる細菌やウィルス、カビなど増えるもの)
・化学的なもの(農薬や殺虫剤、洗剤などの人工的なものやふぐ毒や毒きのこなど体に害があるもの)
・物理的なもの(骨や針、石や刃欠けなど、体を傷つける物体)
など、目に見えない物を目に見える文字にします。
まず、仕入れている食材にどんな危害要因があるかを調べます。
例えば、牛肉にはO157、サルモネラ・・・その特徴は?解体の時に刃欠けや骨の取り残りはないのか?抗生物質などはどうか?などを知る事から始めます。
そして、それぞれの工程で食中毒菌を増やしてしまう、又は新たに付けてしまう危険があるとか、この工程は異物混入の危険があるとか、ここで殺菌が不十分だと食中毒を起こしてしまうなどを明確にして、では、どうすれば良いのかを工程1つ1つに対して決めていかなければなりません。
ここがとても難しく、特に生物的なものは難しいので、厚生労働省も保健所職員や専門家に相談して下さいとしています。
後は、食材が持っていた危害要因を何処で除去するか、確実に安全な食品にする為の工程(加熱、殺菌、異物除去)は何処なのかを決めて、確実に除去出来る方法や基準(加熱温度やpH値など)を決めます。
後は簡単。
・確実に基準を満たしている事を監視し、満たした事を記録する
・万が一、満たさなかった場合の措置を決めて置き、確実に実施し記録する
・定期的に、間違った手順で作業をしていないか、ルールや基準は間違っていないかを確認する
の流れになります。
まとめ
衛生管理計画書は其々の食材・工程でどの様な危害を考えて、どの様な管理をしているかが1つの手順で文書化される為、監査や指導がし易くなります。
また、計画が効果的で実施が確実にさた事が記録がされていれば、万が一、事故が起こった際の原因究明や原因があなたの工場では無い証拠となります。
HACCPは監査する側・される側、輸出する側・輸入する側にとって、全てを『見える化』出来る、あなたにとって効果的な管理手法です。
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長年、食品製造施設で培ったノウハウをもとにHACCPハードプランのコンサルティング・レイアウト設計・施工業務は看板業務として、民間認証取得サポートなどのソフト面のサポートも積極的に行っています。大型食品加工事業者にお勧めです。