HACCPプランの具体的なモデル例・危害要因分析例について

教えて!haccp先生

「とりあえずHACCPを導入したが、この管理で合っているのか分からない」
「危害要因分析をもっと深くまで考えられないか」
「モデル例や具体例があれば、、」

食品加工業や飲食業を行う企業にとって、2021年6月から義務化されたHACCPに基づく衛生管理は、必要不可欠。
しかし、いざ導入してみたものの、正しい衛生管理なのか不安に思う方も多いのではないでしょうか?

HACCPに基づく衛生管理は、業種はもちろん、扱う製品によっても衛生管理が異なります。
そのため、業種や扱う製品によって正しい衛生管理を行う必要があります。

この記事では、長年フードコンサルタントとして食品に係わるさまざまな事業者に衛生環境改善・衛生指導を行ってきたHACCP先生が、HACCPプランの具体的なモデル例・危害分析例について解説。
乳製品加工工場で牛乳を製造する場合を具体例として挙げ、HACCP導入までの7原則12手順に添って解説します。

7原則12手順についてまだよくわからないという方は、HACCP導入までの7原則12手順について解説した記事があるのでぜひご覧ください。

それでは、HACCPプランと危害分析の具体例についてみていきましょう。

【具体例】HACCP導入までの準備

7原則12手順のうち、手順1〜5をHACCP導入までの準備として実施します。
ここでは、HACCP導入までの手順1〜5を「乳製品加工業で牛乳を製造する場合」を具体例として解説します。

製品説明書の作成

手順1のチーム編成は済んでいるとして、次に手順2〜3の「製品の記述」「用途・対象者の確認」を行います。
具体的には、「製品説明書」としてひとまとめに作成します。
製品説明書を作成することで、原材料や製品規格はもちろん、使用用途や対象となる消費者などの製品情報を整理できます。

製品説明書の作成

引用: 厚生労働省:HACCPモデル例【乳・乳製品】

例えば、牛乳を製造する場合、具体的な名称や原材料、アレルギー表示といった基本情報を記入後、容器個装の材質や形態、製品の特性として、「加熱条件(130℃ 2秒のUHT殺菌)」「紙容器成形充填(ES仕様)」を記入。
製品規格には、乳等省令と自社基準があれば自社基準も記載して、情報を細かく整理します。

製造工程図の作成

製品説明書を作成後、手順4〜5で「製造工程図の作成」「現場での確認」を実施します。工程表では、用法・操作の違いがわかるような装置名や殺菌加熱の設定温度など、操作条件も必要に応じて記載。
具体的に作業内容がわかるようにします。

製造工程図の作成

引用: 厚生労働省:HACCPモデル例【乳・乳製品】

製造工程図を作成後、原材料の入荷から製品出荷までの製造工程を実際に現場で確認します。
実際の各工程での作業内容を把握して、次に行う危害要因分析の参考にしましょう。

【具体例】HACCP導入の7原則

製品説明書、製造工程図の作成が完了したら実際に7原則に沿ってHACCPの導入を行います。
ここでは、7原則に沿って「危害要因分析」「重要管理点(CCP)の決定」「CCP整理表の作成」の具体例について解説します。

危害要因分析と重要管理点(CCP)の決定

危害要因分析とは、出来上がった製品に残存する恐れがある危害を洗い出す作業をいい、重要管理点(CCP)とは、危害要因を除去又は低減するために必要な管理段階をいいます。

危害要因分析と重要管理点(CCP)の決定は、以下の5つのステップで行います。

  1. 原材料と工程を書き出す
  2. その原材料と工程に潜在するハザードを書き出す
  3. 書き出したハザードがHACCPプランで管理すべき重要なハザードか判断し「Yes/No」を記入、その根拠も書き出す
  4. Yesのハザードの管理手段を書き出す
  5. そのハザードの管理手段が以降の工程の中で行われない場合、重要管理点(CCP)として決定する

重要管理点として決定した場合、後に重要管理点(CCP)整理表としてまとめるため、「CCP1」「CCP2」などと番号を付けて管理するようにしましょう。

危害分析

引用: 厚生労働省:HACCPモデル例【乳・乳製品】

牛乳の製造工程での危害分析では、

  1. 殺菌工程
  2. ハザードは「病原微生物・耐熱芽胞菌の生残」「洗浄・殺菌剤の残留」「異物の混入」がハザード
  3. そのうち、殺菌温度の低下によって生残可能性があることを根拠に「病原微生物・耐熱芽胞菌の生残」が重要なハザードとして決定
  4. 管理手段は「UHT殺菌の温度と時間の管理」
  5. 加熱殺菌は、その後の工程にないため重要管理点(CCP)として決定

このように、各工程ごとにハザードを書き出し、重要なハザードの管理手段を書き出すことで重要管理点を決定していきます。

そもそも、各工程に潜在するハザードを少なくするためには、一般的衛生管理(PRP)が重要です。
一般的衛生管理(PRP)が十分行われている場合、潜在的なハザードが減り、HACCPの重要管理項目として管理する項目を減らすことができます。

CCP整理表の作成

CCP整理表とは、簡単に、各重要管理点(CCP)についてまとめた表です。
CCP整理表には、主に原則3~7に沿って記入します。

CCP整理表の作成

引用: 厚生労働省:HACCPモデル例【乳・乳製品】

牛乳の製造では、殺菌工程での病原微生物・耐熱芽胞菌の生残が潜在的なハザードとして挙げられ、管理手段をUHT殺菌による温度と時間の管理と設定しました。
CCPが決定したら、次に管理基準(CL)を設定します。管理基準は、管理手段を達成するために設定する限界値です。
牛乳製造の場合のCLは、「加熱殺菌温度125℃以上」と設定。
CLを設定した後は、原則4~7に従って「CLのモニタリング方法」「CLを超えた時の改善処置」「検証方法」「記録」を設定していき、CCP整理表が完成します。

厚生労働省のHACCP導入の手引き書を確認

厚生労働省のホームページには、業種や扱う食品、規模別にHACCP導入に関する手引き書「中小規模の食品製造業者向けHACCP導入のための手引書」「一般的飲食店向けなどの業種別手引書」を掲載しています。
まだHACCPについてよく理解できていないという方は、厚生労働省のホームページをぜひ参考にしてみてください。

まとめ

乳製品加工業におけるHACCPの具体的なプランについて紹介しました。
HACCPによる衛生管理方法は、業種や扱う食品はもちろん、工場の大きさや機器によっても異なります。
今回の記事や厚生労働省のホームページにあるHACCP導入の手引きを参考に、それぞれにあったHACCPプランを実施しましょう。

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