HACCPの前提条件プログラム(PRP)とは。内容、既存施設での進め方を解説。
前提条件プログラムはPRP(PRPs)とかPPと略して書かれたりっしますが何のことだか?実は日本では一般衛生管理とか、一般的な衛生管理と言われます。HACCP計画と前提条件プログラムはPRPの2つを合わせて、最も安全な食品製造が出来るんです。
INDEX-目次-
前提条件プログラム(PRP)とHACCPの関係は?
前提条件プログラム(PRP)とは、その名の通り、HACCPをする前に整えて置かなければ行けないプログラムです。前提とはHACCPの前提です。
HACCPでは、食材の受入から出荷・提供までの全ての工程で環境や器具、食材同士や人、作業から起こる危害となる要因を分析します。と、いう事は作業環境や作業手順、食材の取扱い方法などが決まっていなければ分析のしようが無いと思う事になります。そして、作業環境が整っていればいるほど、作業者の教育がしっかり出来ていればいるほど、危害となる要因が少なくなります。
そこで、食品を取扱う為に一般的に考えて整えておかなければいけない施設・設備、衛生的な環境(5Sや7S)、衛生的な食品取扱方法、ユニホーム、教育訓練の方法を先に考えて整えておきましょうと言うのが、前提条件プログラムです。
具体的な前提条件プログラム(PRP)の内容
コーデックス食品衛生規範の8項目を少し分かり易い言葉で書くと、
1.一次生産が行う管理項目
2.二次汚染や交差を防止する施設設計や必要な設備の整備
3.交差汚染や二次汚染を防止する工程や手順、環境整備
4.機器の保守や洗浄・殺菌、清掃や消毒(5S)
5.体調管理や手洗い、清潔なユニホームなどの個人衛生
6.運搬
7.製品の情報(表示)
8.教育・訓練
それぞれに細かい要求事項がありますが、コーデックスをベースに民間認証機関により要求事項が異なりますし、各国の規制や法律もそれそれの環境に合わせて少しずつ異なっています。
と、いう事で、日本の法制化で求められている前提条件プログラム(一般衛生管理は下記項目となっていますよ。
一般的な衛生管理に関する基準
1.食品衛生責任者等の選任
食品衛生責任者の指定、食品衛生責任者の責務等に関すること
2.施設の衛生管理
施設の清掃、消毒、清潔保持等に関すること
3.設備等の衛生管理
機械器具の洗浄・消毒・整備・清潔保持等に関すること
4.使用水等の管理
水道水又は飲用に適する水の使用、飲用に適する水を使用する場合の年1回以上の水質検査、貯水槽の清掃、殺菌装置・浄水装置の整備等に関すること
5.ねずみ及び昆虫対策
年2回以上のねずみ・昆虫の駆除作業、又は、定期的な生息調査等に基づく防除措置に関すること
6.廃棄物及び排水の取り扱い
廃棄物の保管・廃棄、廃棄物・排水の処理等に関すること
7.食品又は添加物を取り扱う者の衛生管理
従事者の健康状態の把握、従事者が下痢・腹痛等の症状を示した場合の判断(病院の受診、食品を取り扱う作業の中止)、従事者の服装・手洗い等に関すること
8.検食の実施
弁当、仕出し屋等の大量調理施設における検食の実施に関すること
9.情報の提供
製品に関する消費者への情報提供、健康被害又は健康被害につながるおそれが否定できない情報の保健所等への提供等に関すること
10.回収・廃棄
製品回収の必要が生じた際の責任体制、消費者への注意喚起、回収の実施方法、保健所等への報告、回収製品の取り扱い等に関すること
11.運搬
車両・コンテナ等の清掃・消毒、運搬中の温度・湿度・時間の管理等に関すること
12.販売
適切な仕入れ量、販売中の製品の温度管理に関すること
13.教育訓練
従事者の教育訓練、教育訓練の効果の検証等に関すること
14.その他
仕入元・販売先等の記録の作成・保存、製品の自主検査の記録の保存に関すること
【HACCPの前提条件プログラム(PRP)】 既存の施設はどうする?
HACCPは前提条件プログラムが整ってなければ出来ない訳ではありません。既存の施設は現状を良く確認して、現状での危害となる要因の分析をします。そうすると、この工程では危害となる要因があるが、その危害要因に対して何の対策もしていないと言う事に気が着きます。前提条件プログラムで整えられなければ、工程や作業手順、清掃や殺菌、教育など施設や設備で整えられない部分をカバーすれば良いのです。
例えば、忙しい時間帯での作業を減らす為に前日に調理をして冷蔵庫に保管し、当時はオーダーに合わせて温めてて提供しているとします。冷蔵庫が1台しか無く、調理前の肉や魚などの生食材と、調理後の食品や果物が同じ冷蔵庫で保管されているとします。危害要因分析で、肉や魚などの生食材から加熱後(殺菌後)の食品に食中毒を起こす菌が付着して、そのまま提供される可能性がある!となったとしたらどうでしょうか?
まずは生食材と加熱後の食品は分けて保管する方法を考えますね。でも冷蔵庫は1台しか無く購入も難しいとなったら、冷蔵庫内を仕切る!例えば冷蔵庫内をケースや籠で分ける、果物などそのまま食べる物には蓋をするなど。冷蔵庫を洗うのは大変ですが、ケースを洗うのは簡単だし、衛生的に保つ事が出来ますよね。
下処理で包丁の刃が欠けたら欠けた刃が食材に混入するかもしれない!と気がついたとします。今まで全くノーチェックだったけれど、金属探知機って大げさだよね?となったとします。作業が終わり包丁を洗う時に包丁の刃欠けチェックを一般衛生管理に追加して管理すれば良いのです。
まとめ
前提条件プログラム(PRP)とは、HACCPをする前に整えて置かなければ行けないプログラムで、様々な細かい項目がありますが、その通りに整えなければならないわけではありません。何故、その項目があるのかを理解して、対策が立てられれば良いのです。
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