【HACCP手引書】保育園等の学校給食、老人ホーム・グループホーム等の施設編

教えて!haccp先生

病院や福祉施設(老人ホーム・デイサービス・グループホーム)、学校や保育園などの給食施設は小規模事業者に分類され、小規模事業者は業界団体が手引書を作成しているはずなのに手引書がありませんよね。
この記事では「HACCP手引書ってどこにあるの?」などといった疑問をお持ちの方にお応えします。

給食施設(病院・福祉施設・学校・保育園の手引書はどこにある?

残念ながら病院や福祉施設、学校や保育園などは、食事は施設運営の中の一部であり、食事自体が事業でなく食品取扱の業界ではない為、手引書を作成してくれる業界団体が無いんです。

その為、作成予定リストには入っているのですが、今のところは手引書が作成されていません。

作成予定リストには入っているのに、なかなか作成されないのは、大量調理施設衛生管理マニュアルがあるからとも聞きます。あなたの施設には栄養士さんは居ますか?もしかしたら、あなたが栄養士さんかもしれませんね。そうなんです、給食施設には大量調理施設衛生管理マニュアルを学校でしっかり学び、衛生管理を行える栄養士さんがいるから、無くても大丈夫!ということらしいです。

給食施設のHACCP手引書は、「大量調理施設衛生管理マニュアル」で大丈夫?

確かに、大量調理施設衛生管理マニュアルは『一般的な衛生管理(前提条件プログラム)』がしっかりと整えられていますので、法律の『一般的な衛生管理』部分は含まれています。大量調理施設衛生管理マニュアルに沿って衛生管理を行っていれば、大丈夫。でも『HACCPに沿った衛生管理』部分はというと、、大量調理施設衛生管理マニュアルでは必須管理点を加熱と次亜殺菌とし、許容限界を加熱は75℃ / 1分以上、次亜殺菌は100ppm / 10分とかと決めて、計測した記録を取ると定めていますね。
あなたが栄養士さんならば、しっかりと中心温度を取り、記録を残している事と思います。

ただ、HACCPでは、これだけでは不十分。許容限界を逸脱した時の措置が決められていません。

どういう事かというと、スチームコンベクションオーブンで調理する場合、最初に中心温度を確認しながら加熱温度と時間の設定を決めて調理をしていると思います。
最初は、その設定で調理し温度を計ると、しっかり75℃以上あったのに、何故かたまに温度が達していない事がある、調理師さんが追加で加熱し提供してるので、なんら問題は無いように思います。

でも、HACCPでは、何故、温度が達していなかったのか?予熱不足なのか?食材の大きさが変わったのか?解凍出来ていなかったのか?の原因を究明し、原因を除去しなくてはなりません。

そうする事で、だれが調理しても常に安全な食事が提供出来る、毎回、中心温度を計らなくても良いという訳です。
また、記録を取っていれば機器の故障も予測し対処する事が出来ます。

HACCPでは、許容限界に達していない場合は、原因は何か?どう対処したかを必ず記録を取る必要があります。
更に、その中心温度は正しく測定出来ているのか?中心温度の計り方は間違っていないかを定期的に確認する必要があります。

食品等事業者団体が作成した業種別手引書を参考にしよう

食品等事業者団体が作成した手引書で給食施設と似ている業界の手引書は、『小規模は惣菜製造工場』、『医療福祉施設を対象とするセントラルキッチン』の2つかと思います。

個人的に『小規模は惣菜製造工場』の方がHACCP計画がしっかりしています。
『医療福祉施設を対象とするセントラルキッチン』の方は大量調理施設衛生管理マニュアルに近い、どちらかと言うと、一般衛生管理のボリュームが大きい、衛生管理計画書を作成するのが大変かなと思います。

『旅館・ホテルにおけるHACCP・・・』は飲食店向けに近い手引書になっていますので、少し物足りません。
ちょっと、見てみて下さい。

業種別手引書はこちら

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028_00003.html

給食施設向けで一番参考にできるのは厚生労働省が作成した『HACCP入門のための手引書』

やはり、給食施設は給食施設向けでないとピンと来ないかもしれません。
厚生労働省が作成した『HACCP入門のための手引書』。オススメはこれ!

厚生労働省が作成した『HACCP入門のための手引書』はこちら

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000098995.pdf

これは、HACCPが義務化される前にHACCP推進の為に厚生労働省が作成していた手引書で、とても分かり易く丁寧にHACCP計画作成までの手順が書かれています。

しかし、厚生労働省が作成した『HACCP入門のための手引書』では、HACCP計画を作成する為の手順に沿って、あなたの保育園や病院、老人ホームの厨房での実際の工程、使用する機器・器具、環境に沿ってあなた自身が作成していかなければならないとされています。 本来、HACCPとはそういう物です。

給食施設でも、主な調理を温度・時間が管理出来るスチームコンベクションオーブンで行っている施設と、従来の回転釜で行っている施設では加熱での加熱基準の設定方法や、モニタリング方法が異なります。急速冷却機がある施設と無い施設では、作業工程が異なりますし、危害要因やリスクの大きさが異なります。

例えば、手引書で、加熱工程の後工程が急速冷却機で冷却となっていた場合、機械能力により管理しなくても安全性が保てると判断し、特に管理方法や管理基準を設けずに、速やかに冷却とだけして危害要因を無しとなっていたとします。あなたの厨房では急速冷却機を使用しておらず、室内で粗熱を取った後、冷蔵庫で冷却を行っていた場合、手引書には無い『室内での粗熱取り』『冷蔵庫での冷却』での危害要因が無いのかをしっかりと考えなくてはいけません。通常の加熱では殺滅出来ない恐ろしい病原微生物が存在します。急速冷却をする事で、残っている病原微生物の増殖を防ぐ事が出来ますが、緩やかな冷却では病原微生物が増殖してしまい、大きな食中毒事故を発生される危険があるのです。

あなたの施設の為のHACCP計画を作成する事が重要です。

グループホームもHACCP(ハサップ)の対象?

食品等取扱事業者は1回の食事提供数が20食以上となったおり、グループホームなど20食以下の施設は対象とはなりません。家庭料理の延長という事です。そもそも、グループホームは入居者が自分達の食事を自分達で作る、介護士さんやヘルパーさんはサポートをしているだけですよね。

まとめ

まずは、大量調理施設衛生管理マニュアルを見直しましょう。出来ていない事が沢山あるかもしれません。出来ない事は、なぜ、それを行う必要があるのかを考えて、出来る別の方法を考えましょう。

HACCP計画は、先ずは食品の中心温度をしっかり測定し、記録する事が重要。測定し、温度に達していなあったら、追加加熱を行ったあと、メニュー名を記録して原因を考え、原因を除去し、次はきちんと温度が達する様に改善しましょう。中心温度計の較正も忘れずに定期的におこないましょう。

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