【ハサップ温湿度管理】室温は何℃?室温が下げられない時の対処法は?

教えて!haccp先生

温湿度管理が出来てないとHACCP出来ない?という質問や、
室温が高い、結露してしまう、カビが生えるなど、空調に関係するトラブルを良く耳にします。
そこで温湿度管理と食品衛生についてご説明致します。

【ハサップの温度管理】室温って何℃にすれば良い?

厚生労働省は大量調理施設衛生管理マニュアルで室温28℃以下、湿度80%以下という指針を出していますので、保健所の職員の方は28℃以下と言われる事が多いようです。
でも、「なんでもかんでも28℃以下でないと駄目なのか?」 「28℃で良いのか?」と思いますよね。
取扱う食品によって室温を考える事が重要です。
例えば、あなたの工場が鮮魚を扱っている水産加工工場だとすると、室温28℃では不安かもしれません。

魚は刺身で食べられるからと言って無菌ではありません。食べても危害が無い状態にあるだけで、放置されて菌が増えれば食中毒を起こします。刺身で食べる為には菌を増やさない様に低温での作業・保管・流通が必要です。また、赤身の魚がもっているアミノ酸が常温に放置されると、ヒスタミンという毒素を作ってしまい、ヒスタミンによる食中毒を起こしてしまいます。
例えば、それがアジフライ用のアジだとしても毒素は加熱でも殺滅出来ませんし、一度、生成されてしまうと取り除く事が出来ません。魚専門で無くても魚を加工・調理をする惣菜工場でも同じ、加熱前工程で常温に放置されてしまうと、大きな食中毒事故を起こしてしまう危険があります。

魚だけでなく、人間が持っている黄色ブドウ球菌も常温で放置されると毒素を生成します。人が触った後工程で常温放置されると危険です。毒素が生成されるのを防ぐ為に室温を低く保つことが重要です。

更に、通常の加熱では殺せない菌があります。賞味期限を長くする為に加熱後に冷却し冷蔵で流通させるのは、残っている菌を増やさない為です。全ての製品が賞味期限内は安全に食べられる為には温度を一定にして、同じ条件で製造されなければいけません。とすると、冷却後のピッキングや包装室などの温度管理は重要です。

結論、水産加工工場では20℃以下が望ましいと思います。生鮮食品を扱う下処理室などは、28℃以下が良いでしょう。
冷却後の作業は25℃以下を推奨されている自治体が多いようですが、保菅・流通温度が10℃だからと10℃以下にしている工場もあります。

ただ、労働安全衛生法で低温室での作業時間の上限や休憩など、労働者の労働環境を守る法律もあり、低ければ良いというわけではありません。その温度にどの程度の時間、滞留し食品温度が何℃まで上がっているか、何℃以下でないといけないかを考えて設定して下さい。

スポットクーラーや扇風機を使って温度管理しても大丈夫?

古い工場や厨房では夏場、温度が30℃以上、40℃近くまで上がってしまう現場もあり、ゾーニングがされていない場合は、加熱機器の熱や洗浄機の蒸気が作業場内いっぱいに広がってしまうところもありますよね。
かと言って、空調設備を直ぐに交換するとなると、大変なお金が掛かってしまうし、夏場は人が倒れるくらい暑い・・・となるとスポットプーラーや扇風機で何とか冷気を体に当てて作業をされているところも多くありますよね。

さて、それでは人は守れても食品は守れていません?食品は大丈夫???・・・と考え、スポットクーラーや扇風機を食品に当てている現場がありますが、これはNGです。絶対にしてはいけません。
スポットクーラーのパイプの中を見て下さい。カビが生えていませんか?

スポットクーラーは暑い場所で冷気作りパイクを冷気が通るのですからパイプは結露し、可也の割合でカビが生え、菌が増殖しています。そのカビや菌を食品に吹き付けている状態です。ちょっと想像して下さい、パイプの中、舐められますか?

扇風機もNGです。空気は無菌ではありません。天井についたカビや菌が落下(落下菌)したり、空気の移動と共に色々な菌が移動して浮遊しています。
扇風機はすごい勢いで空気を集めて食材に空気を当てるので、少しずつ、食材に菌が付着していきます。

室温が下げられない場合はどうする?

常温での滞留の義務化でコーデックスのHACCP7原則に沿ってとなっていましたが、コーデックスでは室温についての温度基準はありません。
あるのは食品温度を何℃以下に保つ、食品温度が何℃以下なら何時間以内は安全など、あくまでも食品温度が何℃と示しています。
となると、室温が下げられなければ滞留時間を短くすればよいのです。

例えば、

・冷凍食材の解凍は冷蔵庫で行う。
・下処理では、食材は一度に出さずに、1品目の処理が終わったら次の食材を取に行く
・下処理が終わったら、次工程までの間、放置せずに冷蔵庫で保管
・加熱冷却後の食材は速やかに冷蔵庫に入れる
・包装・ピッキングの際は終わった物を溜めずに、冷蔵庫へ入れる

など、あなたが出来る対応方法で滞留時間を短くすればよいのです。

【ハサップの湿度管理】湿度も重要です。

工場内の湿度が高いと、結露の原因になります。
結露は菌やカビを発生させ、カビは毒素を生成します。工場内の至る所にカビが生えていたら危険です。カビや菌は浮遊しますし、カビや菌が含まれた結露が水滴となり、食品に落ちたら大変です。
こまめに結露を拭取る、夜間も空調を止めないなどの対策が必要です。

まとめ

まずは、温度・湿度・結露・カビの問題は専門家に相談する事をお勧めします。
清掃をする時間や労力を考えると、空調設備を見直した方が良い場合もあります。
空調設備の交換が難しい場合は、空気を循環させる、除湿器を設置するなど、様々な解決策を提案してくれると思います。
フィルター清掃などのメンテナンスをしっかりするだけでも改善する事もある様です。

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